静岡・川勝知事が辞表提出 笑顔で“散り際の辞世の句”も… 辞任理由は「リニア問題」強調
職業差別ともとられかねない発言で物議をかもした静岡県の川勝知事が10日、辞職願を提出しました。何度も笑顔をみせた川勝知事。会見では、着工を認めず開業が延期となったリニア中央新幹線が、辞任の理由と強調しました。
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知事を務めて15年。川勝平太氏、75歳。節目の日です。午前9時ごろ、静岡県庁では…
――知事、おはようございます。今の心境をお願い致します。
静岡県 川勝平太知事(75)
「あ…心境?」
ここで一首。
川勝平太知事
「散りぬべき 時知りてこそ 世の中の 花も花なれ 人も人なれ」
花は散る時を知っているからこそ、美しい。人も、そうでありたい―。戦国時代、明智光秀の娘、細川ガラシャが死を前に残した“散り際の大切さを説いた歌”です。
川勝平太知事
「散りぬべき、時知りてこそ…」
職員
「すみません、時間がありますので」
辞職表明から8日。川勝知事は、議長室へ辞表を提出しに向かいます。きっかけは自らが発した職業差別ともとれる“不適切発言”でした。
川勝平太知事(4月1日)
「毎日毎日野菜を売ったり、牛の世話をしたり、モノを作ったりとかということと違って、基本的にみなさま方(県庁の職員)は頭脳・知性の高い方たちです」
2日、辞職を表明するも批判は全く収まらず。その後、公の場では「職員が用意した文書を読んで挨拶する」ことに…。
川勝平太知事(県立大学の入学式、9日)
「私の言動が世間を大きく騒がせることになりまして、どうぞお許しください」
自ら決めた“散り際”。辞表を提出しに向かうその表情は…
――とても表情が晴れやかに見えるんですけど。
時折、晴れやかでした。川勝知事は、辞表を手渡し、15秒で速やかに退室しました。
そして午後2時に向かったのは、定例会見。川勝知事の趣味である花を愛でるところから始まります。
川勝平太知事
「本日の花はガーベラ、それとスプレーデルフィニウム」
――辞職願はどういった内容?
川勝平太知事
「一身上の理由により退職願」
――ご自身でしたためた?
川勝平太知事
「はい、もちろん」
熱く語ったのは、2027年の開業が断念されたリニア問題についてです。事業計画の変更が辞任に至った理由だと改めて強調しました。リニア問題について…
川勝平太知事(10日午前)
「南アルプスの自然保全・水資源の保全、それとリニアの開通、両立を図るということ。私は早期開通に足を引っ張っているということをしたことはない」
任期を残しての辞任。県民に対してはこう語りました。
川勝平太知事
「本当にありがとうございました、という以外ないです。みんな人がいいですね」
川勝知事は5月10日に失職することになります。